【教育分野】
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みんなが楽しめる遊び
~ 子どもの視点から再定義する「共生」と「合理的配慮」の形~
「障害の有無にかかわらず、すべての子どもが心から笑い合える時間は作れるのか」。この班の生徒たちは、将来教育職を目指す者としての強い問題意識から、多様な特性を持つ子どもたちが共に楽しめる「遊び」のあり方について探究しました。 現場での実践を通じ、机上の空論ではない「本当の寄り添い」とは何かを追求したプロセスを紹介します。
1. 仮説の立案:自由という名の「障壁」に気づく
生徒たちは当初、発達の特性や障害がある子どもたちに対しては、ルールに縛られない「自由で、自分のペースで取り組める遊び」こそが最も適しているのではないかと考えました。 「個々が自由に楽しめる環境=バリアフリー」という仮説を掲げ、この考えが実際の療育現場や集団保育の場でどこまで通用するのかを検証するため、フィールドワークを開始しました。
2. 問いの深化:現場で直面した「配慮」と「工夫」の具体性
「つぼみ認定こども園」および「希望の花西大和」での実証的な調査を通じ、生徒たちは理想と現実の差を学びました。
物理的・環境的な配慮: 距離感を掴むのが難しい子のために足元にタオルを敷いて範囲を可視化したり、力加減が分からない子のために予備の道具を多めに用意したりするなど、具体的な「環境設定」が安心感を生むことを目の当たりにしました。
視覚情報の重要性: 「自由」は時に不安を招くという事実に気づき、一日の流れを示すスケジュール表の作成や、スライドによる視覚的な指示出しを導入。聴覚障害を想定した実験では、ビー玉を入れたマラカスを用いて「音を振動として感じる」といった、五感を活用した代替案の有用性を突き止めました。
3. 探究の到達点:「自由」を超えて「子どもと同じ目線」に立つ
一連の検証を経て、生徒たちは「単に『自由』であれば楽しめるという当初の仮説は必ずしも正しくない」という重要な結論に達しました。 生徒たちがたどり着いた学びは、「真にみんなが楽しめる遊びとは、大人の基準で自由を与えることではなく、一度子どもと同じ目線に立ち、一人ひとりの年齢や特性に合わせた緻密な『配慮や工夫』を積み重ねることである」という、個別最適化された支援の必要性でした。
障害の度合いにかかわらず、誰もが「自分はできた」という達成感を享受できる社会をどう作るか。スライドの切り替えタイミングといった細かな課題にも目を向け、実践と改善を繰り返した彼らの探究は、未来の教育者としての第一歩にふさわしい、客観的かつ情熱的な発表となりました。