【医療・福祉分野】
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心と体をつなぐ芸術とリハビリ
~「楽しさ」が拓く療育の未来と支え合いの形~
「リハビリは苦しくて辛いもの」という固定観念を、子どもたちの笑顔に変えることはできないか。この班の生徒たちは、発達障害や身体障害を持つ子どもたちへの支援に注目し、音楽や遊びといった「芸術的アプローチ」がリハビリに与えるポジティブな作用について探究しました。 専門的な知見の収集と現場へのフィールドワークを通じ、療育の現状と、それを取り巻く社会課題の解決策を追求したプロセスを紹介します。
1. 仮説の立案:やる気を引き出す「リズム」と「安心感」
生徒たちはまず、発達が遅れている子どもたちが直面する学習や運動の困難さを分析しました。 身体的なトレーニングを「訓練」として押し付けるのではなく、心地よいリズムの音楽や、思わず触れたくなる道具を通じた「遊び」を入り口にすることで、子どもの自発的な意欲を引き出せるのではないか。この「芸術による心理的・身体的バリアの解消」を仮説に掲げ、調査を開始しました。
2. 問いの深化:フィールドワークで見えた「個」への寄り添い
「わかくさ愛育園」での実証的な調査を通じ、生徒たちは現場で実践されている高度な工夫を目の当たりにしました。
アプローチの展開: 歌えなくても楽しめる心地よいリズムの活用や、左右対称の簡単な振り付けなど、音楽をリハビリに融合させる手法を学びました。また、一人ひとりの表情や機嫌、進行具合を緻密に観察し、安心感を与えてから活動に入る「寄り添い」の重要性を突き止めました。
専門職の視点: 理学療法士と作業療法士の役割の違いを理解し、歩行などの基本動作だけでなく、食事や入浴といった「生活を営むための応用動作」がいかに自立と自信に直結するかを深く洞察しました。
3. 探究の到達点:人手不足を「支え合い」で克服する処方箋
一連の検証を経て、生徒たちは「『芸術を取り入れることで、リハビリは効率的かつ楽しい挑戦へと変わる』という確信を得る一方、深刻な人手不足という壁に直面している」と結論づけました。 彼らがたどり着いた学びは、「専門職だけに全ての負担を負わせるのではなく、保護者や周囲の人間がリハビリのコツや注意点を共有し、家庭での遊び(お歌、お絵かき)に昇華させることこそが、療育の質を維持し、職員不足を補うための最も持続可能な解決策である」という、地域・家庭が一体となった支援モデルの提言でした。
障害の度合いにかかわらず、誰もが「挑戦する気持ち」や「自信」を持てる社会をどう作るか。現場の課題を自分たちのこととして捉え、科学的な観察と共感の視点で「共生の形」を再定義した、温かみと説得力のある発表となりました。